『勉強しなくちゃ高校にも入れない。』って、ボヤいていたのに、いざ、真剣になれば、
『しなくてもいいのよ。』だなんて…。大人ってどうしてこう身勝手なんだろう…。私も大人になったら、この母のように小言ばかり言っているんだろうか?…。そんな大人になんかなりたくないな…。
そんなことを考えながら、参考書を傍のイス置いて手を洗った。そして、いつものように家族の枚数分の食器を ダイニングテーブルに並べていたら、
「本当はえりの方に勉強頑張ってもらいたいんだけどね…。」
母の悩みのタネはどうも妹のえりにあるようだった。
それから、一ヶ月後の夜、私達姉妹も冬休み中。
智彦くん一家は予定通り私の家に来た。
仕事で帰りの遅い私の父を除き、私の母、妹のえり、そして、当時同居していた母方の両親と智彦くん一家の三人と私の総勢八人がリビングに集まった。
しかも、今回は私達姉妹もそれぞれ成長したことで、いつもは寒々としたリビングの掘り炬燵もえらく窮屈に思えた。
そこで、五年ぶりに会った智彦くんを見て、私はこんなに冴えない顔をしたヒトだったのかと思うと少しがっかりした。
あの時の私って、まだ子供だったから、子供の目ってまた随分といい加減だったんだなとひとり納得。
だから、言葉もなく、智彦くんの顔を見ていたら、
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