「智彦は、今、塾に行ってるから、そのうち、帰ってくると思うんだけど…… 、まっ、上がって待ってたら、ええや。」
そう言って、私達三人は、居間に通された。
綺麗に整頓された、お洒落なその空間に、私はなんだかとても落ち着かないでいた。 私の家とは、また、随分、落差があるような… 。その空間もそうだが、私にはまだ心配なことがあった。
それは。
祖母がいつも噂しているこの叔母ちゃんの自慢のひとり息子って、一体どんな人物なんだろう ?
取っつきにくい変な堅物だったら、どうしよう……。祖母の話によると、子供の頃から、おもちゃ、一つ壊したこともない奴なんて、どう考えたって、男の子らしくないわよね…。
そんなことを考えながら、私は、ぼんやりと、ほこりさえ見あたらない床を見つめていた。
「さあさ。どうぞ、ゆきちゃんとえりちゃん、お茶がはいったから、それと、ゆきちゃん達が来るって聞いていたから、叔母ちゃんが焼いたクッキーを食べてみて。」
そう言って、私の前のテーブルに置かれた 紅茶と美味しそうなクッキーに私の目は釘付けになった。
私の母は、朝出かけたら、夕方まで 仕事。私達姉妹の世話は、生まれた時から、今までずっと祖母まかせ。この祖母がいなかったら、私達姉妹はどうなっていたことか…。
あぁぁ。こんなステキな人が私の母だったら、どんなに嬉しいことか…。同級生にたっぷり自慢できるのにな…残念。そんなことを考えると、なんだか、私はまだ、会ったこともな
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